HSPで健康寿命を伸ばそう
ヒートショック・プロテイン(HSP)とは
ヒートショックプロテインというワードを耳にしたことはありますか?
ヒートショック・プロテイン(HSP)とは、人間の体の細胞の損傷を防ぐタンパク質の一種です。
では、このヒートショック・プロテイン(HSP)がどんな時に発現するかというと、熱めのお風呂に浸かったり、温熱を当てるといった熱の刺激を受けた時です。文字通りですが、これがヒートショック・プロテイン(HSP)の由来です。また、ヒートショック・プロテイン(HSP)は熱ストレスだけではなく、どんなストレスでも作られるので別名「ストレス・タンパク」ともいいます。
HSPの生理作用
生体防御作用(ストレス防御作用)
HSPの免疫増強作用
白血球(リンパ球)の増加
白血球には、好中球(侵入した細菌を殺す)、好酸球、好塩基球、単球(血管から外に出るとマクロファージと呼ばれる)、リンパ球(Bリンパ球:抗体を作る役割、Tリンパ球:胸腺で分化し細胞を殺す役割)の5種類があります。がん治療には、がん細胞を殺すリンパ球が重要です。
NK細胞活性の増強、NK細胞数の増加
NK細胞は、ガン細胞のみならず、様々な病原体や異物を貪食して死滅させます。このNK細胞の活性もHSPが存在することにより、活性が増強します。また、NK細胞の表面には、HSPが結合する受容体があり、そこに結合すると、ガン細胞を貪食するNK細胞活性が増強し、NK細胞の数も増加するとも言われています。
抗原提示の増強作用
HSPが存在すると、ガン抗原と免疫物質とHSPが一緒になって、ガン抗原の提示を強力にします。キラーT細胞は、ガン抗原を提示したガン細胞を見つけ、攻撃することで死滅させます。HSPはガンの抗原提示を増強するため、リンパ球はガン細胞を攻撃しやすくなるのです。
つまり、体を温めることで、HSPが増加し、ガン細胞の抗原提示が増強され、キラーT細胞に殺されやすくなります。さらに、キラーT細胞の活性も増強し、ガン細胞はより傷害されやすくなるということです。
樹状細胞の増加
樹状細胞は、抗原提示細胞として働く免疫細胞です。ガン細胞等の異物をとりこみ、その特徴を認識して得た情報(抗原)をキラーTリンパ球に伝えます。 この時、HSPが存在すると、樹状細胞は、更に強力にキラーT細胞に抗原を提示します。
抗炎症作用
身体における炎症を抑制します。
タンパク質の介添役
タンパク質の合成・運搬・分解の補助を担っています。
ヒートショック・プロテイン入浴法
体温計で平熱を測定
HSPは、体温が38度くらいまで上げ保温することによって体内で作られますが、もともと平熱が低い人が、いきなり38度まで体温を上げるのは難しく、身体にも余計な負担がかかってしまいます。 そのため、まずは自分の平熱を把握した後に、平熱プラス1.5度アップを目標にします。
入浴前の水分補給
入浴前には、たっぷり水分をとって脱水を防ぐことも忘れずにしましょう。お湯の温度は40度くらいに設定し、温度を上げすぎてはいけません。
この状態で湯船に20分ほどつかると、自然に体温は1.5度ほど上昇します。温度と入浴時間の目安は、40℃なら20分、41℃15分、42℃10分です。
入浴後の保温
入浴後は、身体を冷やさないことが大切です。
入浴法で一番大切なのが保温時間です。体温を37℃以上に保つことで体内のHSPが増えていくので、体の水分をしっかりふき取り、体が冷えないようにバスタオルやバスローブにくるまり、くつ下を履いて暖かい部屋で最低10分間、体を保温する必要があります。
お風呂上がりに過ごす部屋を適温にしておいて、身体を冷やさないようにするなど工夫をしていくのがコツです。
HSP入浴法は、その後の保温まできちんとおこなえば身体に熱がこもり、実践した2日後をピークに、1~3日間はHSPが増加します。
その後は、減少して元に戻っていくため、減少してきたら2回目のHSP入浴法を実施するのが理想的です。
この後体温は自然に下がっていき、増加したヒートショックプロテインは1週間ほど体内に残ります。残ったヒートショックプロテインのパワーがピークを迎えるのは、入浴から2日後といわれています。
入浴の頻度
この入浴法でヒートショックプロテインを増やすのは、週2回で充分です。
人間の体は不思議なもので、このような温度での入浴ではストレスを感じなくなってしまうからです。
まとめ
ヒートショック・プロテインについて述べてきましたが、みなさんはどうお考えでしょうか?
個人的には、とてもおもしろい概念であると感じましたし、すぐに始められる手軽さも良いと思いますね。
あくまでも無理はせず、自分のできる範囲で続けていきましょう。
体調の優れない方や、ご持病のある方は、医師と相談の上で実践してください。
少しでもみなさんの健康の役に立てたらと思います。